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株式会社ブローチ研削工業所 様 株式会社ブローチ研削工業所 様

株式会社ブローチ研削工業所 様

村松が注目する企業を、村松が実際に訪問をして、会社の特徴、PR、個性的な労務管理手法などを分かり易く紹介していきます。

株式会社ブローチ研削工業所 様

業務内容ワイヤー放電、形彫放電、各種研磨、レーザー加工、ブローチ再研磨等の受託加工 スプラインゲージ等の各種測定具の製作
所在地 静岡県浜松市北区大原町418-1
電話番号053-414-6220
FAX番号053-414-6221
ホームページhttps://www.bkk-hamamatsu.co.jp/
お話し代表取締役社長 小粥 隆太郎 様

■会社の概要、これまでの事業の経緯について教えてください。

1971年に祖父がブローチ再研磨を専門に独立・創業し、今年で設立から50周年を迎える会社です。ブローチというと金属加工業以外の方からは装飾品と誤認されることが多いですが、ブローチとは金属加工用の刃物のことです。 自動車部品のギアやキー溝形状を量産する際の一つの方法として、ブローチが使用されます。ブローチは硬度の高い素材で製作されていますが、加工に使用すると刃の先端部が傷み、その傷んだ部分を研磨して再度使用できる状態にする作業がブローチ再研磨です。 ブローチ再研磨は専用の機械を使って手作業で行う職人的な仕事であり、創業当時は受注量が多いときには夜中まで作業を行うことも多くあったようです。 祖父は将来的な事業展開を考え、自動で長時間稼働ができる放電加工機に注目し、まだ普及初期であった放電加工機を複数台導入しました。当時浜松周辺では放電加工機を複数保有する中小企業はほとんど無かったようです。それが放電加工を中心とした現在の事業内容に繋がっています。 現在では、ワイヤー放電加工、形彫放電加工、平面/成型研磨、レーザー加工、ブローチ再研磨の受託加工を中心に事業を行っています。特に放電加工においては、ワイヤー30台、形彫16台、細孔4台の計50台の放電加工機を保有し、お客様の短納期、多数個、難加工ニーズに柔軟にお応えできる体制を強みとしています。主な取り扱い製品は自動車関連の金型や試作品の加工、各種研磨加工、スプラインゲージの製作等が中心です。約10年前から航空機エンジン部品の加工の受注に注力し、8年前から航空機エンジン部品の放電加工にも取り組んでいます。切削加工が困難な難削材に対しても高精度加工が可能である放電加工の特性を活かし、自動車業界を中心に幅広い加工ニーズに応えて行きたいと考えています。現在では1000社以上のお取引先があり、お客様から頂く多種多様な加工のご相談に常に柔軟に対応し、満足頂ける加工を提供することが当社の使命であると考えています。 2018年に経済産業省より地域未来牽引企業に認定され、2021年2月には労務管理優良事業所として表彰を受けました。

■会社の強みはどのようなところでしょうか?

1つ目は、50台の放電加工機を活用し短納期で多数個の加工ができることです。全国的に見ても、中小企業で50台の放電加工機を保有している会社は限られており当社の大きな特徴となっています。 2つ目は、ワイヤー放電加工、形彫放電加工で共に最大高さ600mmまでの加工に対応出来ることです。放電加工は基本的には加工槽の中に加工物が浸かっていないと加工ができないため、標準的な仕様の加工機では300mmまでしか加工ができません。標準機では対応困難なサイズの加工物に対応出来る大型機械を、ワイヤー放電加工機で5台・形彫放電加工機で3台保有しており、大型製品の加工ニーズにも短納期対応が可能です。 3つ目は、数ミクロン以内の精度が要求される高精度加工に対応出来ることです。最新の設備を長年培った加工ノウハウを最大限に活用することで安定的な高精度加工を実現します。また、高精度加工を実現するための環境として、ワイヤー・形彫・研磨の加工エリアは年中23℃に調整しており高精度の加工をするための地盤を整えています。 4つ目は、9年前から航空宇宙分野の品質認証であるEN9100(JISQ9100)を取得し、品質保証体制を構築している点です。 これらの会社の特徴を展示会やHPでPRし、新規顧客開拓を進めてきました。コロナ禍により展示会出展や遠方の顧客訪問が十分にできない中、最近ではWEB経由で受けることも増加しています。対面での打ち合わせができない分、より丁寧且つスピード感のある対応を心がけています。 いずれも切削加工では加工が難しい放電加工ならではサンプルです。

■社長のこれまでの経歴は?

大学では、経済学部で労務管理論を専攻。大学卒業後は約5年間、銀行と人材関連会社に勤務し2009年1月に入社しました。リーマンショックが発生した直後だったため、入社して間もなく週休3、4日の状況が約1年程度続き、想定外の事業環境からのスタートでした。 入社から3年程は現場の加工を担当し、放電加工、研磨、ワイヤーカットを経験しました。加工業務と併行して入社半年後からISO9001取得の取り組みを開始し、2011年にISO9001、続けて2012年にEN9100(JISQ9100)を取得しました。リーマンショックという逆境からのスタートでしたが、十分な時間がとれたこと、将来への危機感から、その後に繋がる有効な取り組みを進めることができたと思います。 対外的な取り組みの一つとして、2010年から「SOLAE(静岡県航空機産業プロジェクト)」へ参画が挙げられます。重工メーカーから航空機部品の共同受注を目指すプロジェクトで、このSOLAEの活動をきっかけに重工メーカーから放電加工の引き合いを頂き、2013年から新分野である航空機エンジン部品の放電加工の受注が実現しました。 航空機分野の参入、大型製品の加工ニーズの増加により、旧工場(東区小池町)が手狭となり、今後の事業展開、BCP対策等を総合的に判断し、工場の移転計画が進展しました。 2013年から2015年の移転までの期間は、主に品質管理業務と工場移転計画の責任者としての業務を中心的に行いました。 新工場(北区大原町)への移転完了からちょうど1年がたった2016年9月より社長に就任し、品質管理責任者としての業務、航空分野を中心とした新規営業活動、補助金を活用した設備投資、採用・人事関連業務等、幅広い業務に注力しています。

■人材採用で気をつけていることは?

経験者や文系理系に強いこだわりはなく、仕事への熱意が一番大切であると考えています。仕事を一生懸命にやろうという意志が見える方や、長く一緒に働きたいと思える方を採用しています。

■労務管理で気を付けていることは?

現在は社員が40名で年齢層も20~70代と幅広い世代がいます。社員のすべての要望に応えることは難しいですが、一人ひとりがどのようなことを考えているのかを出来る限り汲み取ることを大切にしています。2年前から社員の個人面談を年に2回実施しており、半年間で取り組んだことの確認や次の半年の目標を話し合い決めています。また、社員の意見や提案を聞き、前向きな提案には柔軟に対応しようと心掛けています。

■社員との意思疎通について

社長室は設けておらず、事務所か現場に居ることがほとんどでいつでも声をかけられる状態です。組織体制は各部門に責任者である主任がいるのみで、課長・部長等の複数の役職を設けていないフラットな組織です。役職の有無に関わらず、全社員が自身の立場やその時の状況によって責任感を持って対応することを期待しています。 社員同士の交流のため、創業当時から毎年社員旅行や忘年会等の定例的なイベントを続けてきました。残念ながら昨年からは新型コロナウイルスの影響で中止しています。歓迎会や忘年会も開催できず、会社を離れた外での交流が減っていることが大変もどかしいです。

■労務管理優良事業所を受賞して、政府の働き方改革についてはどう思いますか?

心身に支障をきたしてしまう過剰な労働や適正な時間管理が伴わない残業等を是正していくことは非常に重要であると思います。しかしながら、当社はお客様の製品をお預かりして加工を行う受託加工が中心の業態である為、事前に仕事量を計画して決めることはできません。お客様のご希望納期に間に合わせるために、状況に応じて必要な残業を行うことは国内外のライバル企業との競争、企業の成長において今後も必須であると思います。 業務の効率化に繋がる仕組みづくりや社員同士のチームワーク意識の向上等、全社一丸となって顧客満足と充実した勤務環境の両立を図りたいと考えています。

■これまでの仕事で一番大変だったことは何ですか?

入社して12年の中では、やはり新工場への移転事業が最も大変だったと思います。投資金額も大きく、限られた予算の中で失敗も許されません。用地取得から設計・建築、移転作業完了迄、約2年間の事業でしたが、社員をはじめ多くの協力を得ることができ、何とか計画した2015年8月に移転作業を完了することができました。会社にとって2度目の移転ですが、スペースが旧工場の約2倍に拡大したことで大型設備の導入や顧客へのアピール力が向上し、積極的な事業展開に繋がっていると思います。

■今後の取り組みとビジョンを教えてください。

従来の自動車関連の金型・部品加工を軸としながら、航空機分野をはじめ、当社の放電加工、研削加工技術を活用できる分野に業界を問わず積極的に挑戦して行きたいと考えています。最近では事業再構築補助金の採択を受け、新分野の製品加工への取り組みを計画しています。移転以降、豊富なスペースを背景に、ものづくり補助金をはじめとした補助金を活用し、最先端の設備導入を続けています。高精度な設備と当社の長年の加工ノウハウ、それらを最大限に活かす熱意ある社員により、お客様の多様なニーズに常に前向きにお応えすることで精密加工会社としてのポジションを確立したいと考えています。 [顧客志向、プロ意識、チームワーク、挑戦・創意工夫、継続的改善]を基本的な考え方として、各社員が自分の得意分野で力を発揮し、やりがいを感じることができる会社作りを目指します。

■経営で大切にしていることはどんなことですか?

お客様あっての仕事であり、お客様のご要望にどうしたら応えられるか、知恵を絞ることを大切にしています。社員には、「機械を動かせばお金が発生するわけではなく、お客様の課題や希望に応えることによってこそ報酬が得られていることを常に意識し、仕事を頂けることへの感謝を忘れないこと」をいつも伝えています。難しい加工のご相談や短納期のご希望に応える為、努力を惜しまないことが重要であると考えています。 工場の移転後、これまで以上に最新設備への投資を増やしていますが、ただ設備を増やすだけでは差別化は出来ません。その設備を使う社員がどれだけ設備活用できるかが重要であり、社員の熱意をいかに引き出せるかが経営の最重要事項であると考えます。そのためにも社員と目標を共有し、社長だからどうこうということはなく、自分が一番の熱意を持って仕事に取り組むことを常に意識しています。

■新分野のプロジェクトリーダー ワイヤー放電加工部主任 内田尚人さん

入社前はホテルに勤務していましたが、浜松から職場が撤退することになり、転職を考えた際に現会長の知人に紹介され入社しました。今年で24年目になりますが、入社当時は何を作っているのかもよく理解できず、とにかく図面を見て必死に加工していました。週末も職場の夢を見てうなされることもありました・・。 頭の中にイメージしたものを作ることを「ものづくり」とするのであれば、もともと何かを作ることが好きだったために、これまで続けてくることができたと思います。 当社のワイヤー放電加工部門では毎日違う製品を加工するので、いつでも新鮮な気持ちで仕事ができることが魅力だと思います。仕事のやり方は個人の裁量による面が多く、ある程度のスキルを習得すれば、1日の仕事の流れを自分で考えて進めることができます。自分で主体的・能動的に動ける方にはとても面白い職場だと思います。 最初のうちは上司からの指示を受け仕事をやらされている感がありましたが、責任を持ち自分のペースで仕事ができるようになってから、自分から仕事をして良いものを作ろうという気持ちがより強くなりました。お客様から製品の仕上がりや短納期対応に対して評価を頂けた際にやりがいを感じます。現在は顧客からの加工相談や見積等を主に担当していますが、今後、再度現場に戻りこれから導入予定の新型機を担当し新分野を任される予定です。今後は新分野の技術開発責任者として機械と向き合っていきたいです。

■ワイヤー放電加工を担当し、超高精度加工に挑む 前田紘享さん

大学4年時、リーマンショックの影響で就職活動が厳しい状況だった際に、「SOLAE」のアドバイザーであったゼミの先生に勧められて入社しました。 今年で9年目になりますが、入社時の第一印象は職人気質の会社だと感じていました。新人時代はミスをして怒られることも多くありましたが、自分の仕事に責任と熱意を持って取り組む現在の姿勢に繋がっていると思います。 ここ数年で後輩も増え、中堅社員としてやるべきことも増えてきました。昨年から油加工液仕様の超高精度ワイヤー放電加工機を新たに担当しており、数ミクロン以内の超高精度加工に取り組んでいます。 会社は会長や社長とも話しやすく社員同士の距離が近いところが良い点だと思います。 時間外勤務についても専用の勤怠システムで明確に管理されており1分単位で付けることができ、土・日曜日の勤務時間も個人に任されています。まだ子供が小さい自身にとって、柔軟な働き方ができることはとても助かっています。最近では帰宅してから子供と戦隊ヒーローごっこをすることが楽しみです。 他社にはなかなか無い高精度機械を担当することなど、会社が様々な機会を与えてくれるので、その期待に応えたいです。機械の能力を最大限に引き出し、超高精度加工を目指していきたいですね。また、国家資格の技能検定1級の取得を目標に勉強中です。

“笑顔の現場主義社労士” 村松のコメント

以前から現場リポートでブローチ研削工業所様を取り上げたいと思っておりましたが、 この度静岡県中小企業団体中央会から労務管理優良事業所褒賞を受賞された雇用環境の整備に対して大変意識の高い会社です。 5年程前にブローチ研削工業所様の人事制度づくりをお手伝いさせていただいたことがきっかけで、日頃の労務管理も支援させていただいております。 ブローチ研削工業所様は当時から社員の成長を真剣に考えられており、労務管理改善や会社の仕組みづくりに大変意識が高い会社でしたので、この度労務管理優良事業所褒賞を受賞されても私は全く驚くことはありませんし、むしろいずれは受賞されるだろうと予測しておりました。 今回のリポートで私がいちばん感銘を受けたのは「社員がそれぞれの能力を活かし、仕事を通して社員が活躍する舞台は社長がつくってあげるべきだ」「社員は目標を共有するパートナーであり、社長は社員のために一番働くべきだ」という小粥社長の想いです。 社長室は敢えてつくらず、社員と常に同じ空間で仕事をしており、社員はちょっとしたことでも小粥社長に相談がし易い環境づくりを意識しているとのことです。 毎朝各部門の朝礼に日替わりで参加し、全社員と顔を合わせ、コミュニケーションを図っています。 一方では、社員に対して常にチャレンジ精神をもって仕事に励んでほしいと要求レベルも決して低くはありません。 ブローチ研削工業所様の労務管理が上手くいっているポイントの一つには、社員を尊重し、社員の自主性を引き出そうとする小粥社長の姿勢にあると思います。 小粥社長は大学では労務管理論を専攻されており、金融機関➡人材採用支援会社というキャリアを経て、28歳のときにモノづくり経験ゼロの状態でブローチ研削工業所様に入社されたそうですが、「お金」と「ひと」の実務経験があるということも強みだと感じました。 些細なことで社員とトラブルになり、大量離職を招いてしまうような労務管理で失敗する会社も今までたくさん見てきましたが、小粥社長の社員との風通しの良さを考慮している姿勢は立派だと思います。 これからもブローチ研削工業所様の更なる発展を全力で支援していきたいと思います。
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