社会保険労務士法人 村松事務所/株式会社 浜松人事コンサルタント/静岡県浜松市浜北区の社会保険労務士(社労士)

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現場リポート|常盤工業株式会社

村松が注目する企業を、村松が実際に訪問をして、会社の特徴、PR、個性的な労務管理手法などを分かり易く紹介していきます。

常盤工業株式会社

業務内容

  • 総合建設業(建築・土木・住宅)
  • 建物再生事業
  • ​不動産事業
所在地  浜松市中区新津町197番地
電話番号 053-461-9155
FAX番号 053-469-0394
ホームページ http://www.tokiwak.co.jp/
お話 代表取締役社長 市川 浩透 様

1. 会社の概況を教えてください。

当社は大正15年に、祖父・市川豊蔵が個人で左官業を創業。「いい仕事でお客様に喜んでいただく」姿勢が認められて顧客を増やし、昭和26年に兄弟と共に、総合建設業の株式会社を設立しました。その後、昭和56年に父・市川貞夫が二代目社長に就任、そして私、市川浩透は平成18年に三代目社長を引き継ぎ現在に至ります。

祖父は左官職人の道を一生全うする選択もあった中、会社を設立させたことは、大きな挑戦でした。それを継いだ父の功績は、常に堅実経営を貫き、会社を維持してきたことです。たとえ業績が苦しいことがあっても、大きな借金を抱えることなく実直に歩んできたからこそ、現在まで続いてこられたのだと感謝しています。
そして三代目、私の役割は、創業者と二代目の培った「いい仕事(技術)」と「堅実経営」の伝統を守りつつ、【次世代の土建屋】として変革することです。トップダウンで命令を行き届かせるやり方ではなく、現場で働く人の意見を吸い上げマネジメントに活かしたり、ITを活用して効率化したり、女性社員を積極的に起用したり、現在新しい風を取り入れている真最中。私は「スーパー土建屋」と表現していますが、革新的な土建屋として生まれ変わろうと邁進しているところです。
会社にとって私の役割は、リレー走者の一人だと思っています。先代から社長職のバトンを受け取り、十年走って来た今、さらに今後の十年で本当の力を付けて、次の代表にバトンを渡せるようにしたい。そのための組織づくり(社風と業績利益の確保)と人材育成に力を注いでいます。
ちなみに社員にも話していますが、四代目に世襲継承は考えていません。市川家にこだわることなく、「社員の中からどなたかになってもらいます」と伝えています。

2. 変革への取り組みについて教えてください。

十年間の経営ビジョンには「民主主義の会社」と提示しました。それを実現するため、社内はもちろん、仕事を組む協力会社の方々や職人さんたちとも、意見を交わし合うことを大切にしています。心と心を結ぶ「和」は、社訓の中に盛り込まれていますが、これは和気あいあいとしたコミュニケーションはもちろんのこと、楽しいだけではなく、「一緒に関わる全員が“チーム常盤”となってアイデアを出し合っていこう」という想いも込められているのです。

ベテランも新人も、男性も女性も、どの立場の人たちも、お互いに「いい仕事」をするため、知恵と技術を出し合えばメリットがたくさんあります。そして「いい仕事」を提供すれば、お客様にも喜んでいただき、その先ずっとおつき合いできる“生涯顧客様”になっていただけるのです。
もちろん、意見を出し合えば時には対立することもあるでしょう。しかし、感情の対立ではなく、しっかりお互いの立場から議論し合うことは大切です。問題があっても見て見ぬふりをして素通りしては会社の成長は望めません。しっかり向き合って課題解決したり、新たな可能性に挑戦したりすることが、常盤工業の今後の強みになっていくと考えています。
そのため、社内においても、日ごろからディスカッションする機会を数多くセッティング。何か新しい取り組みをしたいときは、まずマネージャーに情報公開し、マネージャーが自分のグループに伝え、考えを述べ合ってもらい決定します。ですから「何も知らないところで、勝手に判断されて決まってしまった」ということはありません。

もう一つ、意見交換と同時に「民主主義の会社」として取り組んでいるのが、経営数字の公開です。社員へ現状の経営状態を見える化し、「どれだけ利益が出たらボーナスいくら」としっかりルール化することで、会社全体が一緒の方向を見ることができます。すると社員一人ひとりは、具体的な数値をモチベーションの糧のひとつにして取り組むことができますし、仕事自体を「やらされている」ではなく、「自らの仕事」の意識が高まると思うのです。

3. 女性社員の起用について教えてください。

今年(平成28年)になって新たに取り組んだことは、社長室に「情報化推進」と「採用人材開発」の2テーマに取り組む男女二人のスタッフを起用したことです。
もともと当社にはオリジナルの人事制度があり、トップや人事担当者が独自に決定するのではなく、20人くらいがプロジェクトを組んで決定していきます。昨年(平成27年)、5年ぶりに制度を改訂。総務や庶務の社員も、本人の希望があれば、ライン職と同じように、積極的に幅広い仕事をしてもらうコースを作ることになりました。その第一号として抜擢された女性社員が、今回紹介する庶務担当の石黒です。
そもそも私たちのような土建業界は、男性主導のイメージが強いですが、私自身もともと、男性はこの仕事、女性はこの仕事と性別で分ける考え方は持っていません。「現場で働く父を、社内の母がしっかり守る姿が、働く理想像」と例えているのは、あくまで仕事上の役割。
現在では、設計や現場監督として女性が活躍し、また社内の総務担当にも男性が発揮してくれることも多くなっています。男性も女性も、それぞれの感性を発揮し、担った役割にそれぞれの考えを活かしてこそ本物の力が付く。そんな社風にしていきたいと思っています。

4. 人材教育の取り組みついて教えてください。

当社は、設計担当者のレベルアップを目指し、15年程前から、業界第一線で活躍する建築家・松永務氏を二カ月に一度お招きし、指導や相談をお願いしています。

また、月に一回土曜日に「教育訓練日」として、社員全員で勉強会や共通理念を確認し合う時間を設けています。毎回テーマを定め、私や社員の一人が講師になることが多いですが、時には外部講師にお願いすることもあります。

こうした時間を大切にしているのは、「当社のフィロソフィ(哲学・ものの味方)とは何なのか」を再確認し合い、軸になる価値観のベクトルを合わせることが目的です。「私利私欲に走らず、真面目に、人のために頑張る」という最低限の価値観を社員皆が共有し、会社として目指す方向性を共通認識できていれば、あとはできるだけアットホームで自由な社風の中で、存分にチャレンジしてもらいたいと考えています。

私は当社へ入る前、東京の企業で約5年間働いていました。その企業が「全員経営」「社員が主役」の考え方。働く社員の意識が高ければ、規律で縛るよりも自由社風の方が、スタッフの創造性が高まり、個々に仕事のパフォーマンスを発揮してくれることを実感してきました。そこで学んだ人材創りを当社に反映させていきたいのです。

5. 今後の抱負を教えてください。

これまでに、業績不振で苦汁をなめて耐え忍ぶ時期も長くありましたが、先述したように、大変な中にもやってこられたのは、お客様のため、関連会社のため、一緒に働く職人さんのためと、堅実経営に徹してきたからこそ。

現在も業績の安定化が当社の一番の課題ですが、焦って利益優先に走るのではなく、会社の真の実力をつけて、確実に利益を上げていくことが、今後の継続に繋がり、社員たちに「常盤工業で働いてよかった」と思ってもらえる会社になるのだと思います。

とはいえ、現在私の脇を固めてくれているのは、自分より十歳以上年上の先輩たち。その役割を、私と同年代の社員世代が担ったとき、本当に世代交代できたかを見定める時期になるでしょう。そのとき慌てないため、今から社員一人ひとりが努力していくときなのです。

そしてさらに、社内目標だけでなく、地域にも存在価値のある会社でありたいと思います。防災先進地である静岡県内は、以前から耐震強度基準が高く、特に防災意識が高まる昨今は、業界でも危機管理用のBCP(事業継続計画)を整える動きが進んでいます。

長年、お客様に活かしていただいてきた当社が、今後も地域のために役立つことができるよう、社内を固め、地域に愛される企業であり続けるよう、常盤工業の実力をしっかりと高めていきたいと思います。

6. 新しいことをぐんぐん吸収できる
業務改善プロジェクトリーダー
石黒 順子さん
(総務本部社長室主任)のご紹介

◆入社のきっかけ
派遣会社に所属していたとき、常盤工業とのご縁を頂き、社員となって17年になります。派遣社員時代にいくつか企業で働きましたが、中でも常盤工 業の印象は、和気あいあいとアットホームなことでした。ときには「お菓子をつまみながら」ということもあり、最初は驚きましたが、そんな時間が互いの気持ちを和らげ、社員同士が心を通わせることに繋がっているのだと思います。

入社からずっと住宅事業部門の庶務係として務め、そして今年、新たに社長室という部署ができ、そのスタッフの一人に抜擢していただきました。最近、特に当社では女性社員の起用が進み、私も女性の立場からの考えや仕事が、もっと会社のために活かせたらと考えています。

◆取り組み中の具体的業務
現在私が担当している具体的な取り組みの一つがIT活用で、クラウドシステムを進めています。全社員がスマートフォンを持ち、まだ慣れていない社員たちも、少しずつスキルアップすることで、事業の効率化を図っています。
最初は、これまでのように与えられた仕事に応えるだけではなく、自らが考え動いていかなくてはならない任務に負担を感じ、「自分ができるのかし ら」と不安もありました。しかし、セミナー等に参加させてもらい、社長からさまざまな情報をいただくうちに、ITを進めることが会社にとって大きなメリッ トになることを理解できました。そして「ITを推進するために、自分もテンションを上げて頑張ってみたい」と思うようになったのです。

以前より仕事が増えたことは確かで、仕事が終わって自宅に帰ってからも「どうしたらよいか」と考えることも増えました。でも、それは自分が希望し たことですし、実際に少しずつ社内に浸透してきていることを感じると、手ごたえを感じてとても嬉しく、自分の仕事としてやりがいを感じています。これから、しっかりITを推進し、より一層活用させていきたいですね。

そして更に、私も家庭を切り盛りする主婦であり、親の介護を考える年代になった一人として、社員のワークライフバランスを考えていきたいと思います。「私生活の充実により仕事がうまく進み」「仕事がうまくいくことによって私生活も潤う」、そうした相乗効果を高め、よりよい常盤工業になるよう尽力で きたら幸せです。

◆今後の抱負
当社は今、大切な伝統を大切にしながらも、常にアンテナを高く、新しいことを敏感にキャッチし、取捨選択しながら取り組んでいく体制づくりを進めています。社長はどんなに夜遅くても、朝5時に出社し、ご自身の時間を大切にされているようで、時々5時半頃に業務メールが入っていて驚かされることもあ ります。社長や上司たちとも気さくに話ができ、時々「もう少し緊張感があってもよいのでは?」と思うこともありますが(笑)、そんな雰囲気の中で、のびのびと仕事に携われることが何よりの魅力だと思います。やりがいを見出し、働ける喜びに感謝して、これからも当社の一員として頑張っていきます。

7. 意見を引き出し纏められる 伸び盛りの現場監督!
   鈴木 栄作さん(工事本部建築工事部工事長)のご紹介

◆入社して思う事
幼いころから図画工作などの物作りに興味があり、大学では建築学科で学んでいました。就職活動では、東京の住宅メーカーばかり意識していたのですが、あるとき就職ガイダンスで当社に出逢い入社を決めました。2000年のことです。
当時、建築土木の新入社員は自分一人。見習いからのスタートでしたが、アットホームな雰囲気で居心地がよく、社長や部長たちとも気さくに意見交換できる社風がすぐに気に入りました。

それは社内だけではなく、一緒に仕事をする関連企業の方々や職人さんたちも、昔からの付き合いが続いていて、どの方もフレンドリーに接してくださ ることに感激しました。そんな雰囲気の中で育てていただき、現在も「チーム常盤」という一体感を持ち、皆が前向きな気持ちで仕事に向き合えるように頑張っ ています。

◆現場監督として心掛けていること
我々の仕事は、多忙な工期の中で、さまざまな職種の方が関わり進んでいきます。そんな現場で意思統一を図り、仕事をスムーズに回していくことが何よりの任務です。それには、高圧的に意見を押し付けるのではなく、働く一人ひとりが気持ちよく動いてくれるにはどうしたらよいかを考えるようにしています。誰もが、互いを思いやり、それによって働きやすく、楽しい職場になれば、仕事ははかどり「いい仕事」に繋がるのだと思います。

IT推進の動きも、浸透するまでは大変かもしれませんが、これまで社に戻り、パソコンを立ち上げてから初めて確認できた社外連絡などが、出先でチェックすることで、より迅速に効率的に進めることができるようになりました。

一昨年には、浜松市で第1回景観賞大賞を受賞。名誉ある第1回の受賞は当社にとっても意義あることで大変喜んでいます。

◆今後の抱負
勤務20年が近づいてきた今、自分が指導する後輩たちも増えてきました。上司の方々をみると、段取り力や営業力、知識でも、まだまだ自分は足元にも及ばな いと思うことがいっぱいあります。社長の話にもあったように、会社が世代交代したときに、しっかりと実力を発揮できるよう、日ごろから自分自身を磨くこと に努力していきたいと思います。

8. ”笑顔の現場主義社労士”村松のコメント

常盤工業様からワークライフバランス研修のご依頼をいただき、何度か打合せをしたり研修を実施する中で、とても真面目で堅実な会社だと感じましたので、今回現場リポートで取り上げさせていただくことになりました。まず、そもそも中小企業の建設業でワークライフバランスに取り組もうと意識すること自体が前向きで革新的な会社だと驚きました。

市川社長との打合せの中でいちばん衝撃的だったことは、現場監督にも労働時間をきっちり管理して残業手当をしっかり支払っていることです。正直申しまして、中小企業の建設業で現場監督に残業手当をしっかり支払っている会社はかなり珍しいと思います。
常盤工業様は次の3つの施策を推進したいとのことです。①IT化 ②女性活躍 ③ワークライフバランス つまり、業務効率化をはかり生産性を向上させようというものだと思います。これらは正しく今後の日本政府が企業に求めている内容ピッタリなのです。

市川社長は、常盤工業様に入社する前は東京のリクルートで働かれていたそうで、先代から受け継いできた堅実経営の姿勢を大切に守りながら、リクルートで経験された全員経営の姿勢、創造力も発揮して経営されていると実感しました。「フィロソフィーを共有化すれば、社員に自由にやらせたい」という発想は、市川社長ならではでないでしょうか。

「チーム常盤」として「和」を重視し、社員・お客様・下請の全てを大切にした経営姿勢には感銘を受けました。それに「スーパー土建屋」を目指されているとのことですが、私も15年前に「スーパー社労士」を目指して開業し、今でも革新的に業務に取り組んでいますので、とても親近感を感じました。

組織改革も非常に前向きに取り組まれています。必ず毎月1回土曜日に全社員を集めて社内勉強会を行ったり、市川社長が社員の意見を聞く情報交換の場も設けているとのことです。会社の状況や社員の意見を聞きながら、人事制度もその都度見直しているとのこと。今では、基本的に経営数字は社員に全てオープンになっており、会社として利益と賞与の関連性も社員が理解できるレベルまで明確化されているそうです。

今年入社した新卒女性はゼネコン営業職に就いているとのことで、中小企業の建設業ではかなり珍しいことだと思います。石黒さんが社員に対してIT研修講師をしている場面を目撃しましたが、てっきり外部の専門講師を招いていると私が勘違いしたほど、堂々とした振る舞いでとても立派でした。
ワークライフバランスや女性活躍推進に積極的に取り組まれている今後の常盤工業様の更なる活躍を期待しております。

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