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【 第113回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「社会保険の算定基礎で利用できる“年間平均”」
「4〜6月だけ残業が多かったけれど、このまま算定して大丈夫?」そんなご相談をいただくことがあります。
実は、算定基礎届では“年間平均”という特別な算出方法を使えるのをご存じでしょうか。
今回は、“年間平均”を用いるための要件や提出方法についてお話します。
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

今年も「算定基礎届」を提出する時期が来ました📄
準備は順調に進んでいますか?

はい、例年通り進めています。
ただ、当社は特に、春から夏にかけて繁忙期という従業員が多く、残業代等でその時期は給与が高くなる傾向があります。
従業員からは、「10月から社会保険料がすごく高くなった」と総務にクレームが来ることもあります。

それは大変ですね😶
今のお話は、算定基礎届で決定される標準報酬月額が高いということですよね。
ところで、その繁忙期は例年あるものなのですか?

はい、春から夏にかけては毎年忙しくしています。

その状況であれば、社会保険の算定基礎で“年間平均”を用いることができるかもしれません。
「4月から6月の給与の平均額で算出する標準報酬月額と、前年7月から当年6月までの1年間の給与の平均額で算出する標準報酬月額の間に2等級以上の差があるときに、後者の標準報酬月額を算定基礎に用いることができる」というものです。

そうなんですね😯
算定基礎の算出に“年間平均”を用いるために、他にどのような要件があるのでしょうか。

その他に、
・この2等級以上の差が業務の性質上例年発生することが見込まれる
・被保険者が同意していること
という要件があります。

なるほど🤔
従業員からは「社会保険料の負担について不公平感がある」という声も上がっていますので、おそらく同意は取れると思います。
この方法を用いるとして、提出書類など、手続き上注意することはありますか?

提出書類等につきましては、日本年金機構の『定時決定のため、年間平均の手続きを行うときの詳細説明』を確認ください。
この詳細説明には、
①「健康保険・厚生年金保険被保険者月額算定基礎届」※⑱備考欄の“8.年間平均”を○で囲む。
②①の届出に(様式1)及び(様式2)を作成して、必ず添付し提出する。
・(様式1)「年間報酬の平均で算定することの申立書」
・(様式2)「保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」
※必要に応じて、賃金台帳等の資料をご提出する場合がある。
(例:例年発生することが見込まれることを確認する必要がある場合など)
と記載されています。他にも保険者の対象範囲や対象とならないケースも記載されています。

年間平均を用いて算出する際には、一度確認した方が良さそうですね😊
まずは、「通常の方法(4月~6月の平均)で算出した標準報酬月額」と「年間平均で算出した標準報酬月額」の間に2等級以上の差があるか確認して、従業員に説明をしてみます。
ありがとうございました✨
POINT
①社会保険の算定基礎の算出を行う際、4月から6月が例年繁忙期となる場合には“年間平均”を用いることができる。
②“年間平均”を用いる場合、通常と年間平均の標準報酬月額に2等級以上の差が例年発生することが見込まれる、被保険者が同意している等の要件がある。
③届出の提出時には、追加の添付書類等がある。
■参考サイト
・日本年金機構 「4-2:定時決定のため、4月~6月の報酬月額の届出を行う際、年間報酬の平均で算定するとき」
・日本年金機構 「定時決定のため、年間平均の手続きを行うときの詳細説明(ケース4-1,4-2)」