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【 第17回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】  「遅刻早退と年次有給休暇の付与」

みなさんご存じの通り、『年次有給休暇』は ”労働基準法” に規定されています。
(一般的には「年休」「有休」などと呼ばれます)

労働者が入社して6か月継続して勤務し、所定労働日の8割以上出勤した場合に付与されます。
初年度で10日間付与され、その後、1年が経過するごと… 毎年、要件を満たすと年次有給休暇が付与されます。

それでは付与されるための要件についてはご存じでしょうか?


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

当社は遅刻・早退を繰り返す社員への対応を検討しています。
他社では”『減給の制裁』として”遅刻3回で平均賃金・1日分の賃金1/2をカットする”としていると耳にしました。

『年休付与・出勤8割要件』の計算では、遅刻3回を欠勤1日分として処理することは問題はありませんか?

ご質問の中に…『 減給の制裁 』と『 年休付与要件 』の二つが出てきましたので『 減給の制裁 』にも少しだけ触れてみます。
遅刻・早退の場合は”ノーワーク・ノーペイの原則”に従って、その時間については実際に働いていないので賃金の支払い義務はありません。
遅刻や早退した時間分の賃金だけの減額であれば減給の制裁にはあたりません。

また、制裁による減給を行う場合には”労働基準法の制限”があります。
1)1回の事案に対して減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内であること
2)1賃金支払期間(給与計算期間)に対して減給の総額が賃金総額の10%まで!

ただ、「減給は、労働者に経済的不利益をもたらす処分であるから、軽々に発動されてはならない」
(土田道夫「労働契約法」)という解釈があります。

そうなんですね。

次に『年休付与・出勤8割要件』についてお話しますね。

結論から言うと…
遅刻・早退は出勤率の計算上は、労働日としてカウントします。
遅刻3回を欠勤1日分として処理することは出来ません!

遅刻・早退した日もそれぞれ”出勤1日として計上する”ということなんですね?

おっしゃる通りです。
遅刻・早退は、1労働日の所定労働時間の一部について就労しないもの!ですから
”出勤1日として8割”を確認してください。

わかりました。
あっ👀
現在、産休~育休を取得している社員がいます。
どうなりますか?

8割の出勤率計算時には、次の期間は出勤したものとして取り扱います。

1)労働災害による休業期間
2)産前産後の休業期間
3)育児休業・介護休業の期間
4)有給休暇を取得した期間

なお、週所定労働時間が30時間未満かつ週所定労働日数が4日以下の社員については正社員と付与日数が違いますのでお気を付けください。

厚生労働省サイトをご参考になさってくださいね。

ありがとうございます。
助かりました😄

POINT

①遅刻・早退は1日労働日としてカウントする
②出勤したとして取り扱う休業期間等がある