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【 第33回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】  「労働条件通知書のチェックポイント」

「労働条件通知書」とは、雇用契約を結ぶ際に、事業主側から労働者に書面(2019年4月以降は電磁的方法も含む)で通知する義務のある事項が記載されている書類です。
労働基準法第15条・労働条件の明示では、労働契約をする際に会社が労働者に対して明示すべき絶対的明示事項を定めています。


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

来月からパートタイマーを採用する予定があり、そろそろ労働条件通知書を作成する予定です。
せっかくなので、この機会に労働条件通知書の内容が法令に適合しているかチェックをお願いしたいのですが…

わかりました。
漏れがちな項目など、チェックポイントをお伝えしましょう。
まず労働条件通知書の上部からみていくと、雇用契約期間について、「期間の定めなし」か、「期間の定めあり」かを記載する箇所があります。
「期間の定めあり」とした場合、その契約の更新の有無と更新の判断基準を明示する必要があります。


🍇 厚生労働省・参考サイト

当社では、「更新する場合があり得る」としていて…
更新の判断基準として、「契約期間満了時の業務量」や「勤務成績、態度」、「会社の経営状況等」に〇をつけて明示しています。

これらが、御社における契約更新における判断基準ということですね。雇用契約更新の面談の際に、これらの判断基準に基づいて次の雇用契約の有無の判断を行うものであって、自動的に契約が更新されるものではないと双方が認識しておくことが重要です。
次に、賃金のところでは昇給・賞与・退職金の有無について、文書の交付などにより明示することが義務付けられています。これら3つについて、制度としてあるのか・ないのか、ある場合、どのようなときに対象となるかを記載します。


退職金制度について、勤続3年以上で対象となる場合、今回採用するパートタイマーについてはどのように記載すればよいのでしょうか?

採用時に締結する雇用契約の期間内では、支給対象とはならないため、「無」と明示することになります。

ただ、契約更新に関して、自動的に更新する場合や更新する場合があり得るなど、雇用継続の可能性があるような場合、退職金の支給対象となる可能性があるため、「有(勤続3年以上を支給対象とする)」と明示する方法でも、明示の義務を果たすとされています。

・・・採用時に「有(勤続3年以上を支給対象とする)」と、明示しておくと安心だと思いますよ。

なるほど。
そのような記載方法もあるのですね。

そして、漏れていることが多い項目として、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」があります。

これはどのようなものでしょうか?

パートタイマーの雇用管理の改善などについて相談に応じ、苦情も含めた相談に応じる窓口になります。
相談に応じることができる窓口であれば、部署であっても、個人であっても問題ありません。

「総務部」と記載しても問題ないということですね。

そのとおりです。ここまではパートタイマーの労働条件通知書について説明してきましたが、有期雇用労働者についても補足しましょう。
以前にパートタイム労働法という法律がありましたが、働き方改革関連法の成立により、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下、「パートタイム・有期雇用労働法」という)に改正、施行されています。

同一労働同一賃金の施行のときですね。

パートタイム・有期雇用労働法では、パートタイマー(短時間労働者)だけでなく、有期雇用労働者も対象に含まれるため、上記で説明した内容は、有期雇用労働者についても同様に適用されます。
例えば、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の記載は、有期雇用労働者の労働条件通知書にも必要です。

有期雇用となっている契約社員も記載が必要ということですね。
すべての雇用区分の労働条件通知書のひな形を確認しようと思います 👀
ありがとうございました。


補足POINT

■ 嘱託社員の労働条件通知書について ■
 一般的に嘱託社員とは、正社員が定年退職し、その後、嘱託として有期雇用で雇用継続している者のことをいいます。
 専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(以下、「有期雇用特別措置法」という)が公布され、嘱託社員については、その能力を有効に発揮できるよう、会社がその特性に応じた適切な雇用管理を実施する場合(一定の手続きが必要)、こうした定年後の継続雇用者については、無期転換申込権が発生しないこととする特例が設けられています。そして、嘱託社員がこの有期雇用特別措置法による対象者となっている場合は、無期転換申込権が発生しない期間についても労働条件通知書に明示が必要となりますので、注意しましょう。

🍇 参考サイト:厚生労働省「多様な働き方の実現応援サイト」