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【 第49回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】  「常時使用する労働者」

「就業規則の届出」や「衛生管理者の選任」などは、労働者の人数を基準に法令上の義務が定められています。
これらの「常時使用する労働者」の定義は、法令の種類によって異なることをご存じですか?


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

弊社では採用人数を増やす計画をしていて、近い将来に従業員が50人を超える可能性があります。
「常時使用される労働者」が50人以上になると、衛生管理者の選任が必要になってくるかと思います。
他にも様々な場面で「常時使用する労働者」という単語を目にするのですが、一般的にどの従業員をカウントしたらいいのでしょうか?

法令の種類によって、「常時使用する労働者」のカウント方法が異なります。
そのため正しく理解していないと、意に反して法令違反となる可能性がありますよ。

えっ、そうなんですか!
どの場面でも同じ数え方をするんだと思っていました。
たしか「就業規則の届出」は常時使用する労働者の数が10人以上だったと思いますが・・・

労働基準法で「労働者」の定義を確認すると、『職業の種類を問わず事業に使用される者で賃金を支払われる者をいう』としています。
そのため、臨時的な雇入れでなければパートタイマーやアルバイトであっても、常時使用する労働者数に含める必要があるとされています。


では、衛生管理者の選任については、どのようにカウントしたらよいですか?

対象となる労働者は労働基準法と原則は同じです。
しかし、衛生管理者の選任は労働安全衛生法で定められており、職場で働くすべての労働者の安全を守る法律です。
そのため、派遣労働者も含めて常時雇用する労働者数を算出することとなっています。

例えば、事業場の労働者の数が45人の場合でも、派遣労働者が5人いる場合は、合計50人となります。
これにより、衛生管理者の選任等が必要になります。

弊社にも派遣社員がいるので、その方たちもカウントしなければならないのですね!
他にはどのようなカウント方法がありますか?

例えば、常時雇用する労働者が43.5人以上の事業主(企業)は、障害者を1人以上雇用することが義務付けられています。

この常時雇用する労働者は、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者であって、1年を超えて雇用される人(見込みを含む)が対象となります。

計算方法は、週所定労働時間が30時間以上の労働者については1人としてカウントし、20時間以上30時間未満の労働者については1人0.5 人としてカウントします。

働く時間によってカウント方法が違うんですね!

その通りです。
他にも次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法では、常時雇用する労働者が101人以上の事業主(企業) に対して、一般事業主行動計画の策定• 届出を義務付けています。
この常時雇用する労働者には、期間の定めなく雇用される人、過去1年間に引き続き雇用されている人、または雇入れ時から1年以上雇用されると見込まれる人が含まれます。

「常時使用する労働者」といっても、様々な定義やカウント方法があるのですね。
今後はどの方法で数えるべきか気を付けたいと思います。
ありがとうございました!


POINT

①「常時使用する労働者」は法令によって、定義やカウント方法が異なる。
②労働基準法では、パートやアルバイトを含めた労働者をカウントする。ただし、臨時的な雇入れは除く。
③労働安全衛生法では、➁に加え、派遣労働者も含めた人数をカウントする。
④障害者雇用については、週所定労働時間によりカウント方法が異なる。