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【 第59回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】  「年次有給休暇の取得義務」

いつも【労務管理を会話で学ぶ🤔】をご覧いただきありがとうございます。
3月からは、毎月2回【労務管理を会話で学ぶ🤔】を更新をしていきます。
より読みやすく分かりやすい情報を提供しますので、引き続きよろしくお願いします!


【 第18回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「年次有給休暇の時季指定について」で、『2019年4月の改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。』というお話をしました。
今回は5日取得の際によくある質問について取り上げます。


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

2019年4月から年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」という)が付与される従業員について、付与された年休の日数のうち5日は会社が時季を指定するなどして取得させることが義務となりました。
そのことで教えていただきたいのですが・・・

はい、どんなことでしょうか?

育児休業中の従業員の対応ですが、付与日から1年間、育児休業を取得しているようなときはどうなりますか

育児休業は、休業を申し出た期間について労働義務が免除されます。
付与日から1年間のすべてについて育児休業を取得しているようなときは、労働日がなく、会社にとって年休を取得させることが不可能であるため、5日の取得ができないとしても法違反に問われるものではありません。
ただし、付与日から1年経過する途中に育児休業から復帰した従業員は年休の取得義務の対象になります。

わかりました。
育児休業から復帰した従業員も対象になるのですね。

その通りです。
『復帰日』と『年休の付与日から1年経過する日』までの間が短い場合であっても、年5日取得できる労働日があるのであれば、取得させる義務があります。
例えば、付与日から1年経過する日が3月31日であり、3月16日に復帰する場合には、3月16日から3月31日までの期間に合計して年5日の年休を取得させなければならないようなケースが発生します。
復帰にあたっては年休の取得日も併せて確認しておくといいでしょう。

復帰してすぐに5日の年休を取得しないといけない場合があるのですね。
復帰前に確認しておくように気をつけます。
他にも気をつけた方が良いケースはありますか?

パートタイマーから正社員に転換した場合についても同様です。
年10日以上の年休が付与されているパートタイマーは、付与日から1年以内に5日の年休を取得させる義務があります。
このパートタイマーが正社員に転換した場合は、年休の残日数を引継ぎ、取得義務も継続します。


年休の残日数だけでなく、取得義務も引き継がれるのですね!

そうですね。
正社員に転換する際、パートタイマーのときには10月1日であった付与日を、正社員については統一付与日である4月1日に前倒しして変更するような場合があります。
このような場合、年5日の取得義務について、パートタイマーの期間と正社員の期間について重複が生じることになりますが、パートタイマーおよび正社員の期間それぞれで取得させることが原則になります。
なお、重複が生じるそれぞれの期間を通じた期間(前の期間の始期から後の期間の終期までの期間)の長さに応じた日数(比例按分した日数)をその期間に取得させることも認められています。
厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」に事例があります。

厚生労働省のサイトですね!確認してみます。
ちなみに管理監督者はどうなるのでしょうか?

管理監督者も年休の付与義務の対象となっています。
「日常的に多忙で年休を取得する余裕がない」という管理監督者の声を耳にすることがあります。
取得義務の期限が迫って、業務に支障を来すことがないように、計画的に取得できるようにしましょう!


わかりました。
基準日から一定期間が経過したタイミング、例えば半年後などに取得状況を確認するようにします。
ありがとうございました!


POINT

①付与日から1年経過する途中に育児休業から復帰した従業員は、年休の取得義務の対象になる。
➁付与日より前倒して付与する場合、重複が生じるそれぞれの期間を通じた期間の長さに応じた日数(比例按分した日数)を取得させることも認められる。
③管理監督者も年休の付与義務の対象となる