社会保険労務士法人村松事務所 株式会社浜松人事コンサルタント社会保険労務士法人村松事務所 株式会社浜松人事コンサルタント

お役立ち情報・BLOG

【 第62回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】  「障害者の法定雇用率引上げ」

皆さんは「障害者の法定雇用率」をご存じでしょうか?
従業員43.5人以上の事業主は、毎年6月1日現在の障害者の雇用に関する状況(障害者雇用状況報告)をハローワークに報告する義務(障害者雇用促進法43条第7項)があります 。(2023年現在)

今回は今後の法定雇用率の動き等についてとり上げます。


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

「障害者雇用の人数が変更になるようだ」と部長が話していましたが、何が変更となるのでしょうか?

それは「障害者の法定雇用率」の変更のことですね。
障害者雇用促進法に基づき一定人数の障害者を雇用する義務がありますが、その雇用率を指します。

詳しくおしえていただけますか?

はい。
雇用すべき人数は、全労働者に対する対象障害者である労働者の割合を基準として算出する法定雇用率に基づき決まります。
法定雇用率は少なくとも5年毎に、この割合の推移を勘案して設定することとされていますが…
現行の法定雇用率は、2018年4月から設定されていることから、2023年4月に新しい法定雇用率に見直されることになっています。


民間企業における現行の法定雇用率は2.3%とされていますが、2023年4月より2.7%に引き上げられる予定です。
ただし、引上げ幅が大きいこともあり、雇入れに係る計画的な対応ができるよう、2023年4月から1年間は2.3%で据え置き、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%と段階的に引き上げられる予定となっています。

弊社は、だいたい40人くらいで今まで『障害者雇用状況報告書』の作成提出はありませんでした。
今後は必要となりそうでしょうか?

法定雇用率が2.7%となった場合、1 人以上の障害者を雇用すべき企業の範囲が、現行の従業員数43.5人以上から37.5人以上に広がります。

ということは…
弊社は報告書の作成提出が必要になりますね。

そういえば「除外率があったよなぁ」とも部長が…

障害者の就業が一般的に困難であると認められる業種(建設業、道路貨物運送業、医療業など)について、雇用する労働者数を計算する際に除外率に相当する労働者数を控除(障害者の雇用義務を軽減)する制度があります。


この除外率は、2004年4月以降、廃止に向けて段階的に引下げ・縮小が行われており、2025年4月からは10%引き下げられる予定です。
この引下げにより、除外率が5~10%となっている非鉄金属製造業(非鉄金属第一次製錬精製業を除く)、倉庫業、航空運輸業、窯業原料用鉱物鉱業(耐火物・陶磁器・ガラス・セメント原料用に限る。)等の計9業種については除外率の適用対象外となります。
その一方で、警備業、介護老人保健施設、介護医療院の3業種が新たに加えられる予定です。


厚生労働省のホームページに、詳細が掲載されていますので参考にしてみてください。

その他に改正点はありますか?

障害者雇用における障害者の算定方法が変更となります。


1) 精神障害者の算定特例の延長(令和5年4月以降)
週所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、当分の間、雇用率上、雇入れからの期間等に関係なく、1カウントとして算定できるようになります。
2) 一部の週所定労働時間20時間未満の方の雇用率への算定(令和6年4月以降)
週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、雇用率上、0.5カウントとして算定できるようになります。


人数のカウントも気をつけましょう!

算定方法にもルールがあるのですね!
よくわかりました。
ありがとうございました😀


POINT

①法定雇用率が段階的に大幅引上げ!
②除外率は引下げ!
③障害者の算定方法が変更!算定ルールがあるので要注意!