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【 第70回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】  「採用と年齢制限」

新しく求人募集をする際に、年齢制限を設けたいと検討することもあるかと思います。
しかし、少子高齢化のなかで国の持続的な成長のためには、個々人が年齢ではなくその能力や適性に応じて活躍の場を得られることが重要とされています。
それでは、全く年齢制限を設けることはできないのでしょうか?求人募集の年齢制限に関する注意点を説明します。


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

社員が退職することになったため、新しく求人募集をしたいと検討しています。
35歳以下の方を採用したいと考えていますが、そのような求人を出すことは可能なのでしょうか?

企業がどのような人材を採用するかは、会社が任意に決めることができます。
ただし原則として、従業員の募集や採用に年齢制限を設けることはできません。

厚生労働省は企業に対して、年齢にとらわれない人物本位、能力本位の募集・採用を求めています。

年齢制限を設けることはできないんですね…
ハローワーク以外の求人でも年齢制限はできないのでしょうか?

民間の職業紹介事業者、求人広告などを通じて募集・採用する場合や、企業が自社のホームページなどで直接募集・採用する場合も年齢制限を設けることはできません。

さらには、形式的に求人票を「年齢不問」とすれば良いわけではなく、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定したりすることも禁止されています。
また、応募者の年齢を理由に雇用形態や職種などの求人条件を変えることもできません。

そうなんですね。
でも、他社の求人票で「キャリア形成を図る観点から、40歳以下の人を募集」という文言を見たことがある気がします…
この求人は無効なのでしょうか?

例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。
年齢制限を設けた募集・採用を考える際には該当する事由がないかを確認してみると良いでしょう。

具体的にはどのようなケースが該当するのでしょうか?

以下の6つの事由に該当する場合は年齢制限を設けることができます。


①定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を無期契約の対象として募集・採用する場合
②労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
③長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を無期契約の対象として募集・採用する場合
④技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 無期契約の対象として募集・採用する場合
⑤芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
⑥60 歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までに生まれた人)または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

6つも例外となるケースがあるのですね!
弊社でも、③の事由で35歳以下とすることはできそうですね。

③の例外事由とするためには、「対象者の職業経験について不問とすること」および「新卒者以外の者について、新卒者と同等の処遇にすること」の二つの要件も満たす必要があります。

そもそも、人材不足により採用活動が厳しくなる中で、年齢だけでなく、どのような人材を採用していくのか人材採用戦略を検討する良い機会かもしれませんね。

そうですね!
本当に年齢制限を設ける必要があるのかも含め、どのような能力や人材が欲しいのか再度検討してみようと思います。
ありがとうございました✨


POINT

①従業員の募集や採用に当たって、原則として年齢制限を設けることはできない。
②形式的に求人票を「年齢不問」とすれば良いわけではなく、年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定したりすることも禁止されている。
③例外的に、年齢制限を設けることができる6つの事由がある。