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【 第112回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「仕事で腰痛になった時の労災認定基準」
従業員が勤務中に腰痛を発症した場合、すべてが労災として認められるわけではありません。
今回は、厚生労働省のリーフレット「腰痛の労災認定」をもとに、認定のポイントや判断の基準をわかりやすく解説します。
実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

従業員が仕事中にぎっくり腰になり、仕事を休んでいました。
今は出勤できる状態になりましたが、労災(業務上災害)として認められるのでしょうか?

厚生労働省からリーフレット「腰痛の労災認定」が公開されていますので、この内容を見てみましょう❗
腰痛については「災害性の原因による腰痛」と「災害性の原因によらない腰痛」に分けて認定要件が定められています。
「災害性の原因による腰痛」については、負傷などによる腰痛で、次のいずれも満たす必要があります。
(1)腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること
(2)腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること

突発的に生じた急激な強い力が原因で、腰を痛めるような場合ですね🤔

そうですね。
そして、仕事中にぎっくり腰になった場合については、『日常的な動作の中で生じるものであるので、たとえ仕事中に発症したとしても、ただちに労災認定され、労災補償の対象とはならない』とされています。

仕事中であっても、労災認定されないことがあるということですね。

はい。
ただし、発症時の動作や姿勢の異常性などから、腰への強い力の作用があった場合には労災認定されることがあります。

なるほど。
従業員本人や周囲にいた従業員に、詳しい状況を確認してみようと思います😊

次に、「災害性の原因によらない腰痛」については、日々の業務による腰部への負荷が徐々に作用して発症した腰痛をいい、その発症原因により2つに区分して判断されます。
①筋肉等の疲労を原因とした腰痛
②骨の変化を原因とした腰痛

具体的にはどのような業務になるのでしょうか?

①筋肉等の疲労を原因とした腰痛に関しては、以下のような業務に比較的短期間( 約3か月以上)従事した際に、労災補償の対象となります。
・約20㎏以上の重量物または重量の異なる物品を繰り返し中腰の姿勢で取り扱う業務(例:港湾荷役など)
・毎日数時間程度、腰にとって極めて不自然な姿勢を保持して行う業務(例:配電工など)
・長時間立ち上がることができず、同一の姿勢を持続して行う業務(例:長距離トラックの運転業務など)
・腰に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務(例:車両系建設用機械の運転業務など)
②骨の変化を原因とした腰痛に関しては、以下のような重量物を取り扱う業務に相当長期間( 約10年以上)にわたり継続して従事した際に労災補償の対象となります。
・約30㎏以上の重量物を、労働時間の3分の1程度以上に及んで取り扱う業務
・約20㎏以上の重量物を、労働時間の半分程度以上に及んで取り扱う業務
ただし、労災補償の対象と認められるには、その変化が「通常の加齢による骨の変化の程度を明らかに超える場合」に限られます。

日々の業務の蓄積も、状況によっては労災認定される場合があるということですね。

その通りです。
また、椎間板ヘルニアなどの既往症または基礎疾患のある労働者が、仕事により、その疾病が再発したり、重症化した場合は、その前の状態に回復させるための治療に限り労災補償の対象となります。
リーフレットに具体例や認定事例が紹介されていますので、一度確認されるとよいと思います☝️

そうですね、時間がある際に確認しておきます😊
ありがとうございました✨
POINT
① 「災害性の原因による腰痛」と「災害性の原因によらない腰痛」に分けて認定要件が定められている。
② ぎっくり腰については、たとえ仕事中に発症したとしても、ただちに労災認定がされるわけではない。
発症時の動作や姿勢の異常性などから、腰への強い力の作用があった場合には労災認定されることがある。
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