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労務管理を学ぶ【法改正編📚】 セクハラ・就活セクハラ対策が義務化へ
◆法改正により義務化へ ~カスハラ・就活セクハラ対策の概要~
2025年6月4日「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」の一部改正が参議院で可決・成立しました📖
この改正では、カスタマーハラスメント(以下、カスハラ)や求職者等に対するセクハラ(以下、就活セクハラ)を防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
具体的な内容は下記のとおりです。

事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後指針において示される予定です。
また、施行日は「一部を除き、公布日(2025年6月)から起算して1年6か月以内に政令で定める日」とされています。
そもそも、カスハラとは、次の3つの要素すべてを満たすものと定義されています。
① 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと
② 社会通念上許容される範囲を超えた言動であること
③ その言動が、労働者の就業環境を害すること
当事務所でもハラスメントに関する相談やセミナーの依頼は年々増加しています。
特にカスハラは注目度が高く、東京都は既にカスハラ防止対策を条例で施行しています。
◆精神障害の労災認定は過去最多 ~原因のトップはハラスメント~
厚生労働省が公表した「令和6年度 過労死等の労災補償状況」によると、精神障害による労災認定件数は1,055件と過去最多となりました。
特に注目したいのがその原因で、以下のような結果となっています。
原因別項目 | 認定件数 |
---|---|
上司等からのパワハラ | 224件 |
仕事内容・量の大きな変化 | 119件 |
顧客・取引先等からの迷惑行為(カスハラ) | 108件 |
セクシュアルハラスメント | 105件 |
昨年度は新設項目のカスハラが、今回は1年間で108件となり、セクハラを上回る原因となりました。
また、上位4項目の内3項目がハラスメントに関連しています。
これらの数字が示すとおり、カスハラは一部の業界や企業だけの問題ではありません。
精神的なダメージは、従業員の心身の健康だけでなく、職場全体の雰囲気や離職率、企業の信頼性にも悪影響を及ぼしかねません。
◆今後のハラスメントの対応について
ハラスメント対策は「制度を整えるだけ」では十分とは言えません。現場で働く人が安心して相談でき、対応策が実行されていることが重要です。
特に、カスハラは「顧客からの苦情だから仕方ない」と放置されやすいため、早めのルール化と社内の意識改革が必要です。
カスハラ・就活セクハラの防止は、企業の社会的責任であると同時に、従業員を守り、働きやすい職場づくりに直結します。
まだ義務化までは時間の猶予はありますが、今から対策を検討することが重要です。
当事務所では、多様なハラスメント(パワハラ・カスハラ・セクハラ等)やメンタルサポートに特化した「ハラスメント外部相談窓口」を提供しています。
また、ハラスメントに関する 就業規則の改定・研修のご相談等も、お気軽にご連絡ください☎
■参考サイト
厚生労働省 「令和7年の労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)等の一部改正について」
厚生労働省 「令和7年労働施策総合推進法等一部改正法のポイント」