社会保険労務士法人村松事務所 株式会社浜松人事コンサルタント社会保険労務士法人村松事務所 株式会社浜松人事コンサルタント

コーケン工業株式会社様

10代~90代の社員が家族のように働く会社

企業情報

企業名コーケン工業株式会社
業務内容パイプ加工・切削・溶接・表面処理
所在地静岡県磐田市飛平松214-1
電話番号0538-66-4151(代)
FAX番号0538-66-4159
ホームページhttp://www.koken.jpn.com/
お話代表取締役会長 村松 久範 様  
代表取締役社長 飯尾 祐次 様

会社の概況・理念・経営方針を教えてください

会社概要

昭和46年創業のパイプ加工を中心とした専門メーカー。

経営理念

全社員が物心ともに豊かに、健やかになる事を追求する。雇用の継続に努め、地域社会の繁栄に貢献する。

経営方針

  • お客様起点
  • チームコーケンの幸せ
  • 取引先様との共存・共栄
  • 地域社会への貢献

会社の強みについて

例えば、当社の経営理念を煮込んで煮込んで、煮詰めたエキスにしたとしましょう、何が残るでしょうか?それは「人」です。「コーケン工業は働く社員がすごい! といわれる会社にしたい」と、「人」を一番の柱にすることをブレずにやり抜いてきた30年と言ってよいと思います。

そして2017年、第7回「日本でいちばん大切にしたい会社」(「人を大切にする経営学会」「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞実行委員会主催)中小企業庁長官賞をいただくことができました。それは自分たちが本筋としている「人を大切にする」ことを、不器用ながらも諦めず頑なに進めてきたことが評価されたのだと思います。「この賞は、会社の一人ひとりで勝ち得たのだから、みんなで祝いたい」と、日本一のたい焼き屋と称えるご夫妻に特別にお願いして、社員全員にたい焼き2個ずつを配ることにしました。

するとたい焼き屋のご夫妻は朝4時に起きて、午後2時まで焼いて、3時の会社の休憩時間に間に合うように届けてくださったのです。受賞はもちろん、ご夫妻の心のこもったたい焼きはなんと尊い価値のあるものでしょう。社員みんなの喜びもひとしお。有難く味わいながら喜び合いました。

コーケン工業受賞理由(「日本でいちばん大切にしたい会社」HPより抜粋)

  • 定年制を設けず66歳以上の高齢者が全体の16.7%、その定着率も高い。
  • 10代から90代の社員(最高齢90歳)がまるで家族のように助け合いながら働く。
  • 障がい者雇用率は4.87%と法定雇用率を大きく上回っている。
  • 重度、精神等雇用が難しい障がい者を正社員で雇用し、健常者と同様の給与を払っている。
  • 正社員一人当たりの賃金は、業界・地域の同業と比べて高い。

人づくりとは?

人材論、組織論の世界的権威、リンダ・グラットン教授の著書『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』も興味深い。人生百年時代になるということは、これまでより寿命が30年延びたということ。30年あれば相当なことができます。「どんな戦略を立てるか?」これからはそんな話を議論していきたいものです。また2017年「行動経済学」でノーベル経済学賞を授与された米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授は、相田みつを氏の大ファンだそうです。そして「つまづいたっていいじゃない人間だもの」という観点を経済学に置き換えて表現しています。日本人自身も負けてはいられませんよ。日本人は一人ひとりが考え、行動し、成長する素地がある素晴らしい民族だと思います。伸びる環境が整ってさえいれば、自ら成長していける。特に私は短期間に叩き込む「教育」ではなく、習慣によって重なり合っていく「共育」が大切だと思います。人は精神的なものを含めて、質の高い良い環境に身を置くと、知らず知らずのうちにレベルが上がっていくもの。環境が人を創り上げていくのです。当社はパイプ、プレス、溶接とさまざまやっていますが、何をするにも、そして世の中がどう変わろうとも、「人」を大切に育てておけばやっていける! という信念を持っています。だからこそこれからも「人」を第一に考えていきたいと思っています。

人材の特長は?

そもそも当社が高齢者雇用をスタートしたのは、バブル時代の人手不足のときに「元気なじぃじ、ばぁば大募集」と新聞折り込みに求人したのが発端です。現在のように特別な高齢者雇用を意識したわけではなく、若い人手が足りないのだから、元気な高齢者に働いてもらおうという単純な発想です。だから現在10代から90代までさまざまな年代の社員がいることは、当社にとっては普通のことなのです。

「人育て」は「うまくやろう」ではうまくいかない。「どうしたらやってくれるか」を考えること。それには人間観察が大切。その人をよく見て、その人をよく知って、良さを見つける。意識していると習慣になっていきますよ。その人の良さを褒めて活かすから、その人はさらに伸びる。こうして会社が人を良く見ていると、社員も同じように人をよく見るようになるものです。連鎖反応ですね。だからうちの社員たちは気遣い・心遣い・優しさが抜群! 若い人も自分の何倍も年上の高齢者スタッフを教えるし、障がいのあるスタッフの良さも見抜いて能力を発揮させる。こうした環境をいかに作っていくか、ですね。

村松会長の好きな言葉

「私の趣味は“人”だ」と答えるほど常に「人」を考えている。すると哲学が生まれますね。「忘己利他」/己を忘れて他を利するは、慈悲の究極なり「積小為大」/小を積みて大と為す

私は2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥教授が大好き。教授は医学部で医者は無理だと言われ、研究者の道に入り、こうしてノーベル賞を受賞されました。まさに「人間万事塞翁が馬」/良いときもあれば悪いときもある。良いときには図に乗るな。悪い時にも落ち込むな。私もそんな生き方をしなくてはと、心の中で念じていますが…。

村松会長の目指す今後

当社には「人」を柱にした土壌らしきものはできたと思います。2015年から飯尾社長が就任。社員には「人を大切にすることにおいて彼が一番だから社長に選んだ」とはっきり伝えました。

今の時代は、興味あるものが多種多様にあるので、若い社員の意識はどんどん変化していきます。ひとつのものをやり続ける辛抱強さが欲しいと思うこともありますね。変化の大切さはありますが、壁にぶつかったとき、簡単に道を変えてしまうのではなく、乗り越えてみる、壁を崩してみる根性も欲しい。「自分の好きな物は何?やめろといわれてもやりたいことは何?」と聞かれて、好きなことを仕事にできたら素晴らしい。これから飯尾社長をはじめとした役員たちと、後に続く若手たちが同じ共通の目標を持ち、楽しく仕事を続けていってくれたら、またこの先20年後もきっと社員たちは輝いていてくれることでしょう。

社員採用ポイントは?

当社は「日本でいちばん大切にしたい会社」中小企業庁長官賞をいただいたお陰で、事業関連ではないお客様が昨年だけで300名以上が見学にみえてくださいました。高齢者や障がい者雇用などの実績を認めていただいたわけですが、当社のこうした雇用は30年という長い時間で培ってきた社風です。何も特別なことをするわけではなく、できる人がフォローして共に成長していく姿勢。つまり当社は4世代同居の家族のようなものなのです。だから他社を定年退職した高齢社員が入社しても、同じような方々が当たり前のように働いているので、違和感なくすぐに馴染むことができる。皆さん「70歳を過ぎて新しい友達ができた」と喜んでいます。どんな年代の方も、入社採用のポイントは「人柄」。ペーパーテストなどはなく、チームコーケンの一員となれる人かどうかで判断させてもらいます。

新卒採用に向けたPRは?

大学生の新卒採用説明会では当社の20代社員がブースで対応します。なぜなら入社後、新入社員が一緒に働くことになるのは年齢の近い若いスタッフたちです。学生さんには、年の近い人と話して、一緒に働いてみたいと思う会社を見つけてほしいと思っています。こうして入社が決まると、新入社員を選んだ若手社員も責任感を持ってその社員を育てようと接してくれるので、新入社員と先輩になった若手社員の両者が成長してくれる相乗作用が生まれているようです。また、地元磐田市に人材が根付いてほしいという願いもあり、最近では地元の高校に当社を積極的に発信しています。高校生が興味を持つように、当社の若手社員が会社紹介を作成しています。その甲斐あって見学に訪れてくれる高校生が増え、手ごたえを感じています。さらに今後は近隣大学にも情報を発信して興味を持ってもらいたいと考えています。当社の商品をモチーフにした「オリジナルゆるキャラ」も大活躍。会社1階の商品展示スペースには、社員手作りのゆるキャラマスコットが並び、「当社のPRのぼり」等にもイラストが描かれ、社員たちも愛着を持ってくれているようです。

飯尾社長の目指す今後

当社は油圧配管パイプ製造を中心にしていますが、今後は他の品物にもどんどん挑戦していける会社になりたいと思います。そのためにも、社員たちがどんどん新しいことにチャレンジできる環境づくりを考えていきたいと思っています。当社には幅広い年齢層の知恵とさまざまな経験、若手の柔軟な発想とバイタリティがあります。そして社員同士が互いの良さを知り尽くし、意見を出し合う風土もできてきました。次の段階は、ここから更にまた違うものづくりの楽しみを拡げていきたい。「チームコーケン」の「人」による、コーケン工業のわくわくするものづくりを、今後も目指していきたいと思います。

当社は油圧配管パイプ製造を中心にしていますが、今後は他の品物にもどんどん挑戦していける会社になりたいと思います。そのためにも、社員たちがどんどん新しいことにチャレンジできる環境づくりを考えていきたいと思っています。当社には幅広い年齢層の知恵とさまざまな経験、若手の柔軟な発想とバイタリティがあります。そして社員同士が互いの良さを知り尽くし、意見を出し合う風土もできてきました。次の段階は、ここから更にまた違うものづくりの楽しみを拡げていきたい。「チームコーケン」の「人」による、コーケン工業のわくわくするものづくりを、今後も目指していきたいと思います。

90歳現役バリバリ コーケン工業最年長! 内野 賢一さんのご紹介

昭和3年生まれ。2000年に入社したとき既に70歳を超えていました。もともと別珍コールテン織りを営んでいたので、ずっと立ちっぱなしの仕事もなんのその。指示書に従って製品を梱包する作業をしています。若い人たちと一緒に仕事をして、お話しながら昼ごはんを食べて、毎日生きがいをもって仕事をさせてもらっているので、いつも笑顔でいられます。わが社の最年長ということもあって、よく取材を受けますよ(笑)。こうして元気でいられるのも仕事があるお陰、ありがたいことです。

感謝の心で皆に接するムードメーカー♪ 清川 勝代さんのご紹介

入社して43年目に入っています。一緒に働く人たちは10代の人もいれば70代以上の人たちまで。こんなに幅広い年代層が和気あいあいと働くところは少ないと思いますが、私たちにとってはそれが日常なんです。女性も多く、ひとりひとりの持ち味や技量を活かしてくださるので、とても働きやすいです。会長や社長も気さくに声を掛けてくださるので笑顔の絶えない職場ですね。ときには社内の懇親タイムでカラオケをご一緒することも。私の十八番は美空ひばり「川の流れのように」です(笑)。

会社のために仲間のために大活躍! 土屋 静子さんのご紹介

1976年に入社しました。長年チームコーケンの一人として働かせていただいていること、本当に感謝しています。職場のリーダーの方や一緒に働く皆さんとも気持ちが繋がっていると感じます。こうして楽しく仕事ができるからこそ「もっとよい物を作って会社のためにがんばろう」という意欲も湧いてきます。今はリタイヤしましたが、主人も同僚でしたから、家でも会社の話題で盛り上がっていますし、ときどき会社まで送ってくれることも。そんなときは「いつも仲良しね~」と仲間に冷やかされています(笑)。これからも日々健康に注意して、会社に貢献したいですね。

“笑顔の現場主義社労士”村松のコメント

静岡県が世界に誇る優良企業であるコーケン工業様を現場リポートさせていただきました。コーケン工業様は、「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の授賞式で、中小企業庁長官賞を授与された会社です。何と約300名の社員の内、1/3は60歳以上の正社員で構成されており、ダイバーシティ経営を実践されています。金融機関から「お客様で働き方改革を推進したいという会社があり、相談にのってあげてほしい」とご紹介いただいたことが弊社とコーケン工業様の出会いのきっかけでした。社労士業界やコンサルティング業界による本来の制度目的・趣旨とは異なる、品位のない過剰な営業手法の影響もあり、巷では「助成金がもらえるというチラシが届いたけど、本当にこんなに良い話があるの?」と助成金制度に関する問合せが多いようですが、コーケン工業様は正しく厚生労働省が目指す最重要テーマである働き方改革に関する問合せでした。はじめてコーケン工業様と面談させていただいたときには、働き方改革推進チーム約10名の方から鋭い質問をいただき、非常に真剣な様子が伝わってきたことを鮮明に覚えています。弊社は今まで多くの会社を訪問してきましたが、「この会社は違うぞ!」と肌で感じました。普段お付き合いさせていただく中でも、会社全体として村松会長のお話のとおりのことを実践できている「プラチナホワイト企業」であると感じております。社員、社員の家族、取引先、地域社会に至るまで気遣い・心遣い・優しさをもって対応されています。村松会長のお言葉で私がいちばん感動したことは「経営理念を煮込むと、『人を育てること』が残る」というものです。村松会長にいろいろ質問しましたが、最後には必ず「人」に行きつきます。経営資源には「人」「物」「金」「情報」があると言われますが、やはり最も重要な経営資源は「人」で間違いありません。私もそれを信じて社会保険労務士を生業とし、16年間経営してきましたが、村松会長のお話から確信することができました。ブレずにひとつのことをやり続けることの大切さや、医者(ヤブ医者)と医師(本物)のお話もとても興味深いものでした。スーパードクターの条件として、①運動神経がよい ②勘がよい ③人の話を聞ける の3つがあるとのことです。私自身も元々「スーパー社労士になるぞ!」と意思を固めて金融機関を退職し、25歳のときに起業しましたので、この3つのことも意識しながら、「労務管理で社員の成長と企業の発展をはかり社会に貢献する」という弊社の経営理念を実現するべく、真摯に取り組んでいきたいと思います。

村松会長いわく「いちばん人を大切にするのが飯尾社長だから社長に任命した」とのことですが、(村松会長と雰囲気は違いますが(笑))飯尾社長も人に優しく紳士的で本当に素晴らしい方です。飯尾社長が率いるコーケン工業様ならば、これからどんな試練があろうとも、社員の強固なチーム力で乗り越えていかれると思います。90歳の内野さんや70歳代の清川さん、土屋さんのお話も伺いましたが、皆さんが「趣味は仕事だよ。職場に来ることが楽しいよ。」とおっしゃっていたことに大変驚きました! 経営者の趣味が仕事だというお話よく聞きますが、一般社員の方々から口を揃えて同じような意見がでる会社ははじめての経験です。このような会社を労務で支援させていただけることは弊社としても誇りであり、これからも全力でコーケン工業様を応援していきたいと思います。