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【 第68回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】  「管理監督者の欠勤控除」

時間外の協定届を作成する際に、労働組合がない場合は、労働者代表を選任し協定を締結しなければなりません。
その際に、管理監督者は労働者代表に選任することができません。
では、管理監督者は労働者ではないのでしょうか?欠勤控除は出来るのでしょうか??


【第14回・労務管理を会話で学ぶ 🤔 】「労働者の過半数を代表する者」では、詳しく労働者代表の選出について説明しています。


実際の現場では、リアルな疑問が?? 早速、現場をのぞいてみましょう!

先日は『時間外の協定届』の作成指導をありがとうございました。
弊社は工場長(管理監督者)を労働者代表に選任しようと思っていましたが…
教えていただいたので管理監督者以外の従業員の中から選挙で代表を選ぶことが出来ました。

でも、工場長や本社の部長などは『管理監督者』となっていますが、欠勤の場合は欠勤控除が出来ないのでしょうか?

名称・肩書は何であれ管理監督者は労働者ですが、労基法41条2号では次のように規定しています。
次に該当する労働者は「労働時間、休憩及び休日に関する規定」を適用しない。
「監督もしくは管理の地位にある者」(「管理監督者」)

したがって、管理監督者においては、時間外労働や休日労働という概念がなく、時間外・休日に対する割増賃金を支払う必要がありません。

そうなんですね。
それでは「管理監督者」はどのような労働者が該当するのでしょうか?

要件としては…
①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること
②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること
③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給・手当・賞与)上の処遇が与えられていること
を満たす者とされ、名称にとらわれず実態に即して判断されることになります。

なんだか難しいですね。
タイムカードの打刻や出勤簿の作成は問題ないですか?

はい。
タイムカードの打刻や出勤簿の作成・提出を義務づけること自体は 要件②の出退勤に関する裁量権 を否定しません。
ただ、欠勤・遅刻・早退の上司への届出や正当な理由が無いと人事考課へ影響したり懲戒処分があり得る場合は、「そもそも管理監督者にあたらない」と言うことになり得ます。
そうすると…
遅刻・早退の場合に賃金控除をすれば出退勤について厳格に管理されているとして、 要件②出退勤に関する裁量権 が否定されることになりますよね。
したがって、管理監督者に対しては、遅刻・早退控除はできないと考えられます。

うーん…さらに??です。
例えば、部長としての目立った成果も上げられず頻繁に遅刻し、出勤しない日も何日かあるような場合はどうでしょうか?
(こんな部長では困りますが…)

本当にこのような部長さんがいたら驚いてしまいます😖

このような場合、欠勤控除を行う事が 要件②の出退勤に関する裁量権 が否定されるのかが問題になります。
管理監督者には「労働時間、休憩及び休日に関する規定」(残業や休日出勤の割増賃金)は適用されないものの、就労の義務については「労働時間、休憩及び休日に関する規定」とは別問題です。
管理監督者であっても、就労の義務が免除されているものではありません!
これは、就労の義務を免除するという効果のある年次有給休暇に関する規定が、管理監督者にも適用されることからも明らかです。

そもそも部下を管理する立場にある者が、就労せずに部下の勤務を管理監督できますかっ!ということですよね😁


その通りですね。

管理監督者であっても就労の義務まで免除されているものではないと考えられます。

そうすると、欠勤の場合は有給休暇(年休)を取得してもらえば良いですね。

管理監督者は年休は除外されていないため、欠務した場合は年休を取得することになります。
もし、年休を取得せずに欠務した場合は労務提供の義務を果たしていないため、ノーワーク・ノーペイの原則通り欠勤控除を行う事が可能であると考えられます。

ちなみに…「深夜業(割増賃金)・産前産後に関する規定」は管理監督者も適用されます。

ありがとうございました!
また、教えてください😄


POINT

①管理監督者とは労働者である!
②管理監督者は名称や肩書で決められるものではなく実態に即して判断される!
③管理監督者に就労義務はある!
④管理監督者の深夜割増は支払うこと!産前産後休業は請求があったら与えること!
⑤管理監督者の欠勤控除は”場合によっては可能”である!